経理初心者が絶対厳守しなければならない3つの締切 住民税・所得税・消費税

税務の申告・納付は、忘れると一大事に!!

経理や総務の方が、日々の業務に追われていると、提出物の提出期限を過ぎてしまうことはよくある話です。
社内の提出物ならまだしも、税務に関しては、提出期限を過ぎると、不納付加算税や延滞税が発生します。
今回は、経理初心者が忘れがちな締め切りがある3つの業務をご紹介します。

当記事は、経理担当者向けの記事です。
経理の仕事でお悩みの方は、こちらの記事もご覧ください。

10日 住民税(特別徴収)の納付

住民税には、普通徴収と特別徴収の二種類の納付方法があります。
簡単に言うと、普通徴収は、納税者本人が、自分でお金を納める方法です。
特別徴収は、納税者本人(従業員)に代わって、会社が給料から住民税を天引きして、
従業員の住んでいる自治体に納める方法です。

例えば下記のような従業員、住所、住民税の金額の場合

  • Aさん 杉並区 10,000円
  • Bさん 中野区 12,000円
  • Cさん 杉並区 13,000円
  • Dさん 練馬区 8,000円

会社が毎月10日までに納める住民税の額

  • 杉並区 23,000円 Aさん+Cさん
  • 中野区 12,000円 Bさん
  • 練馬区 8,000円 Dさん

会社には、毎年5月に下記のような「特別徴収税額通知書」という書類が届きます。
この書類は、「あなたの会社の○○区に住んでいる従業員の住民税の金額は××円で、
毎月会社全体で、△△円納付してください」というお知らせです。
どのような代物かというと、下記の通りです。

この通知書に基づいて、毎月10日までに前月分の住民税額を納付します。

前月分を10日までに納付ということは、
6月分は、7月10日まで。7月分は、8月10日まで。ですので、ご注意ください。

10日 所得税の納付

源泉徴収とは

会社勤めの方は、給与所得として所得税がかかります。
所得税は、本来従業員が確定申告をして、税務署に支払うものですが、全てのサラリーマンが確定申告を行うと煩雑ですので、
毎月の給料から差し引く形で、会社が代わりに税務署に納めます。これを「源泉徴収」と言います。
なお、所得税の源泉徴収は、従業員だけではなく、弁護士や税理士への個人に対する「報酬」に対しても行われます。

所得税は毎月従業員の給与から差し引いて、翌月10日までに納付することになります。
毎月の納付では、国税庁が定めた下記のような源泉徴収額表に基づいて納付します。
平成30年分 源泉徴収税額表(国税庁)
毎月の納付は、ざっくりとした金額を支払っているだけですので、12月に「年末調整」で、
その帳尻合わせを行っています。
年末調整、「扶養控除等の見直し」が届いた時の対応については、下記の記事も併せてご覧ください。

納期の特例とは

上述の通り、所得税は、原則として、毎月10日までに、前月分の従業員の所得税を納めますが、
小規模な会社の場合は、毎月は大変だから、半年に1回で良いよ。という特例があります。
それを一般的に、「納期の特例」「納特」と言います。

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請を行うための手続です。
源泉所得税は、原則として徴収した日の翌月10日が納期限となっていますが、
この申請は、給与の支給人員が常時10人未満である源泉徴収義務者が、
給与や退職手当、税理士等の報酬・料金について源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税について、
次のように年2回にまとめて納付できるという特例制度を受けるために行う手続です。
1月から6月までに支払った所得から源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税・・・7月10日
7月から12月までに支払った所得から源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税・・・翌年1月20日
所得税法第216条、第217条
源泉所得税の納期の特例(国税庁HP)

末日 消費税の納付

消費税は、原則として、前年の消費税年税額が48万円を超えると中間申告が必要となります。
中間申告の方法(国税庁HP)
消費税の年額が4,800万円を超えると、毎月中間申告が必要となります。

中間申告というと、申告書を作成しなければならないのか?
と考えますが、申告書を作成する必要はありません。
詳しくは下記の記事を併せてお読みください。

具体的には、税務署から既に金額が印刷された「納付書」が届きますので、
そちらを期限までに納めれば完了です。
期限は下記の通りです。
・その課税期間開始後の1月分 → その課税期間開始日から2月を経過した日から2月以内
・上記1月分以後の10月分 → 中間申告対象期間の末日の翌日から2月以内

忘れたらどうなるのか?

住民税

住民税については、10日までに納付がない場合は、延滞金が発生します。
延滞金の計算については、各自治体のHP等に記載がありますが、
港区のHPがうまくまとまってましたので、ご紹介します。

延滞金が発生すると聞くと、ビビる方も多いと思いますが、
住民税については、あまりビビる必要はありません。
なぜなら、住民税の延滞金の計算は下記のような特例があるためです。

  1. 対象となる税額の1,000円未満の端数は、切り捨てます。
  2. 2,000円未満の税額は、延滞金が加算されません。
  3. 延滞金に100円未満の端数があるときは、端数を切り捨てます。
  4. 延滞金が1,000円未満のときは、全額を切り捨てます。

1か月程の滞納でしたら、ほとんどの場合延滞金が1,000円未満になりますので、
翌月の納付の時に前月分と併せて納付すれば、延滞金は発生しません。
自治体によっては、督促状の手数料を請求する自治体もあります。

所得税

住民税は、緩いですが、所得税は厳しいです。
源泉所得税は、一日でも納期が遅れると、不納付加算税が課されます。
督促状が来てから納付をすると、10%。
自主的に納付をしても、5%の不納付加算税が掛かります。
それなりの金額になりますので、細心の注意が必要です。
ただし、下記の通り、不納付加算税免除の規定もあります。

国税通則法67条(不納付加算税)
(不納付加算税)
第六七条 源泉徴収等による国税がその法定納期限までに完納されなかつた場合には、税務署長は、当該納税者から、第三十六条第一項第二号(源泉徴収による国税の納税の告知)の規定による納税の告知に係る税額又はその法定納期限後に当該告知を受けることなく納付された税額に百分の十の割合を乗じて計算した金額に相当する不納付加算税を徴収する。ただし、当該告知又は納付に係る国税を法定納期限までに納付しなかつたことについて正当な理由があると認められる場合は、この限りでない。
2 源泉徴収による国税が第三十六条第一項第二号の規定による納税の告知を受けることなくその法定納期限後に納付された場合において、その納付が、当該国税についての調査があつたことにより当該国税について当該告知があるべきことを予知してされたものでないときは、その納付された税額に係る前項の不納付加算税の額は、同項の規定にかかわらず、当該納付された税額に百分の五の割合を乗じて計算した金額とする。
3 第一項の規定は、前項の規定に該当する納付がされた場合において、その納付が法定納期限までに納付する意思があつたと認められる場合として政令で定める場合に該当してされたものであり、かつ、当該納付に係る源泉徴収による国税が法定納期限から一月を経過する日までに納付されたものであるときは、適用しない。
国税通則法施行令27条の2(期限内申告書を提出する意思等があつたと認められる場合)
2法第六十七条第三項(不納付加算税)に規定する法定納期限までに納付する意思があつたと認められる場合として政令で定める場合は、同項に規定する納付に係る法定納期限の属する月の前月の末日から起算して一年前の日までの間に法定納期限が到来する源泉徴収による国税について、次の各号のいずれにも該当する場合とする。
一 法第三十六条第一項第二号(納税の告知)の規定による納税の告知(法第六十七条第一項ただし書に該当する場合における納税の告知を除く。)を受けたことがない場合
二 法第三十六条第一項第二号の規定による納税の告知を受けることなく法定納期限後に納付された事実(その源泉徴収による国税に相当する金銭が法定納期限までに法第三十四条の三の規定により納付受託者に交付されていた場合及び法第六十七条第一項ただし書に該当する場合における法定納期限後に納付された事実を除く。)がない場合
つまり・・・
法定納期限から1ヶ月以内に源泉が納付されていて、
過去1年の間に「納税の告知を受けたことがない」(督促を受けること)かつ「遅れて納付したことがない」のであれば
不納付加算税は「免除」になるということです。
過去1年で納付漏れがなければ不納付加算税は見逃してくれます。

消費税

消費税の中間申告については、しない場合は、申告をしたものとみなされます。
詳しくは下記の記事をご覧ください。

ただし、納付がされない場合は、延滞税が掛かってきます。
無申告加算税や不納付加算税のような、ペナルティはありません。

まとめ

所得税については、納期限を過ぎてしまった時の、ペナルティが大きいので、注意が必要です。
また、金融機関の対応により、10日納付の場合は、3営業日前までに等の対応が必要な場合がありますので、
納付には余裕を持って対応する必要があります。

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