障害者雇用納付金の勘定科目、消費税、損金算入について

障害者雇用納付金・障害者雇用調整金の会計処理まとめ

障害者雇用納付金を支払ったり、障害者雇用調整金を受け取ったりした際の
会計処理はどうすればよいのでしょうか?
今回は、障害者雇用に関する会計処理についてご説明します。
平成30年4月改正に伴い、障害者雇用率を変更しました。(2.0%→2.2%)

当記事は、経理担当者向けの記事です。
経理の仕事でお悩みの方は、こちらの記事もご覧ください。

障害者雇用納付金制度の概要

「障害者の雇用の促進等に関する法律」では「障害者雇用率制度」が設けられており、事業主は、
その「常時雇用している労働者数」の2.2%以上の障害者を雇用しなければなりません。

注:平成30年4月1日から率が変更になりました。

障害者を雇用するには、作業施設や設備の改善、特別の雇用管理等が必要となるなど障害のない人の雇用に比べて一定の経済的負担を伴うこともあり、「障害者雇用率制度」に基づく雇用義務を守っている企業とそうでない企業とでは、経済的負担のアンバランスが生じます。

障害者の雇用に関する事業主の社会連帯責任の円滑な実現を図る観点から、この経済的負担を調整するとともに、障害者の雇用の促進等を図るため、事業主の共同拠出による「障害者雇用納付金制度」が設けられています。

http://www.jeed.or.jp/disability/koyounoufu/about_noufu.html
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構

障害者雇用納付金はいくらなのか?

常時雇用している労働者数が100人を超える障害者雇用率(2.2%)未達成の事業主は、法定雇用障害者数に不足する障害者数に応じて1人につき月額50,000円の障害者雇用納付金を納付しなければならないこととされています。

勘定科目は?消費税は?

障害者雇用納付金は、「租税公課」として、損金算入できます。消費税は不課税です。

根拠としては、下記の基本通達・法人税法によります。
損金の額に算入する。と明記されており、尚且つ当該基本通達が「租税公課」の分類に記載されておりますので、
勘定科目は租税公課が適当です。必ずしも租税公課というわけではありません。会社の実態に合わせてお使いください。

(賦課金、納付金等の損金算入の時期)

9-5-7 法人が納付すべき次に掲げる賦課金等については、それぞれ次に定める日の属する事業年度の損金の額に算入する。(昭52年直法2-33「10」により追加、昭63年直法2-14「五」、平10年課法2-7「十二」、平15年課法2-7「二十六」、平15課法2-22「十」、平21年課法2-5「八」により改正)

(1) 公害健康被害の補償等に関する法律第52条第1項《汚染負荷量賦課金の徴収》に規定する汚染負荷量賦課金 当該汚染負荷量賦課金の額につき、汚染負荷量賦課金申告書が提出された日(決定に係る金額については、当該決定の通知があった日)
(2) 公害健康被害の補償等に関する法律第62条第1項《特定賦課金の徴収》に規定する特定賦課金 当該特定賦課金の額につき、決定の通知があった日
(3) 障害者の雇用の促進等に関する法律第53条第1項《障害者雇用納付金の徴収》に規定する障害者雇用納付金 当該障害者雇用納付金の額につき、障害者雇用納付金申告書が提出された日(告知に係る金額については、当該告知があった日)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_05_04.htm

仕訳

例 障害者雇用納付金申告書の提出とともに、障害者雇用納付金を現金で50,000円支払った。

(借方) 租税公課 50,000円(消費税不課税) /(貸方) 現金 50,000円

障害者雇用調整金の支給

先ほどまでは、障害者を雇わなければいけないのに、雇っていなかった場合の罰金的な性質のものです。
一方、ルール上は雇う必要がないのに、自主的に雇っている場合は、調整金・報奨金が支給されます。

常時雇用している労働者数が100人を超える事業主で障害者雇用率(2.2%)を超えて障害者を雇用している場合は、
その超えて雇用している障害者数に応じて1人につき月額27,000円の障害者雇用調整金が支給されます。

報奨金の支給

常時雇用している労働者数が100人以下の事業主で、各月の雇用障害者数の年度間合計数が一定数(各月の常時雇用している労働者数の4%の年度間合計数又は72人のいずれか多い数)
を超えて障害者を雇用している場合は、その一定数を超えて雇用している障害者の人数に21,000円を乗じて得た額の報奨金が支給されます。

勘定科目は?消費税は?

障害者雇用調整金や報奨金は、「雑収入」として、計上します。消費税は不課税です。

(法令に基づき交付を受ける給付金等の帰属の時期)

2-1-42 法人の支出する休業手当、賃金、職業訓練費等の経費をほてんするために雇用保険法、雇用対策法、障害者の雇用の促進等に関する法律等の法令の規定等に基づき交付を受ける給付金等については、その給付の原因となった休業、就業、職業訓練等の事実があった日の属する事業年度終了の日においてその交付を受けるべき金額が具体的に確定していない場合であっても、その金額を見積り、当該事業年度の益金の額に算入するものとする。(昭55年直法2-8「六」、昭59年直法2-3「一」、昭63年直法2-14「一」、平12年課法2-7「二」、平23年課法2-17「四」により改正)

https://www.nta.go.jp/law/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/02/02_01_06.htm

注意!!
調整金や報奨金については、まだ当該金額を受け取っていない場合でも、見積もりで未収入金として計上する必要があります。

仕訳

例1 障害者雇用調整金を現金で27,000円受け取った。

(借方) 現金 27,000円/(貸方) 雑収入(消費税不課税) 27,000円

例2  期末において、障害者雇用調整金27,000円の支給の申請を行ったが、まだ支給はされていない。

(借方) 未収入金 27,000円/(貸方) 雑収入(消費税不課税) 27,000円

まとめ

障害者雇用納付金は 租税公課 消費税不課税 損金算入

障害者雇用調整金は 雑収入 消費税不課税 未収の場合は、未収計上の必要性あり

にほんブログ村 士業ブログ 公認会計士へ
にほんブログ村

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です