徹底解説!!法定福利費と福利厚生費の違い

法定福利費と福利厚生費は似て非なるもの

法定福利費と福利厚生費は名前が似ているので、間違えて入力している経理担当者の方をよく見かけます。
今回は、両者の違いを解説するとともに、
福利厚生費については、税務上特に注意する点がいくつかあるので、ご紹介します。

当記事は、経理担当者向けの記事です。
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法定福利費とは

法定福利費とは、簡単に言うと、従業員の社会保険料の会社負担分です。
社会保険料の具体例は下記に挙げますが、
社会保険は、従業員が負担する部分と会社が負担する部分があります。
そのうちの会社負担分が「法定福利費」(販売費および一般管理費)となります。
一方従業員負担分は、通常「預り金」(負債勘定)となります。
以下では、法定福利費に含まれる社会保険の具体的事例をご紹介します。

健康保険

健康保険とは、けがや病気、出産、死亡に対する保険制度です。
こうした事態が生じた場合、治療費やその一部を国・自治体が負担してくれます。
日本は国民皆保険制度を採用しており、全ての国民が健康保険に加入しています。
健康保険は、その保険料を会社と従業員で折半します。
健康保険の料率は、健康保険組合等で異なりますが、
代表的な協会けんぽの都道府県ごとの保険料率は下記をご覧ください。
全国健康保険協会 > 健康保険ガイド > 保険料率 > 都道府県毎の保険料額表
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat330/sb3150

厚生年金保険

厚生年金保険とは、会社員が一様に加入する保険制度です。
老後の生活や死亡に備えるための保障制度で、積み立てた金額に応じて老後に年金が受け取れる他、病気やケガで障害を負った場合に受け取れる障害年金や、加入者本人が死亡した時に遺族が年金を受け取れる遺族年金などから構成されます。
ちなみに、自営業者・短時間労働者・無職の人は「国民年金」への加入が義務付けられています。
厚生年金保険は、その保険料を会社と従業員で折半します。
(厚生年金のうち、子ども子育て給付金は、会社が全額負担します)
厚生年金の料率については、下記をご覧ください。

日本年金機構 厚生年金保険料額表
http://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-gaku/gakuhyo/index.html

雇用保険

雇用保険とは、いわゆる失業保険のことをいい、従業員の雇用の安定や促進を目的として作られた保険です。
万一失業した場合に一定期間一定額の給付金を受け取ることができます。
雇用保険の料率は、従業員負担 3/1,000 事業主負担 6/1,000です。
雇用保険の料率は、下記をご確認ください。

厚生労働省 雇用保険料率について
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000108634.html

労災保険(労働保険)

労災保険とは、業務中や通勤中の事故・災害によって生じた病気、ケガ、傷害、死亡などに対して保障を行う保険制度です。
一時金や年金形式で給付を受けることができ、 災害にあった労働者の社会復帰の支援や、亡くなった場合には遺族の援助も行います。
労働保険の料率については、下記をご確認ください。業種によって異なります。

厚生労働省 労働保険年度更新に係るお知らせhttp://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/hoken/roudouhoken21/index.html

福利厚生費とは

福利厚生費に明確な定義はありませんが、
国税庁HPには、下記の記載がございます。

No.5261 交際費等と福利厚生費との区分
専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行などのために通常要する費用については交際費等から除かれ、福利厚生費などとされます。
また、社内の行事に際して支出される金額などで、次のようなものは福利厚生費となります。
(1) 創立記念日、国民の祝日、新社屋の落成式などに際し、従業員におおむね一律に、社内において供与される通常の飲食に要する費用
(2) 従業員等(従業員等であった者を含みます。)又はその親族等のお祝いやご不幸などに際して、一定の基準に従って支給される金品に要する費用(例えば、結婚祝、出産祝、香典、病気見舞いなどがこれに当たります。)

福利厚生費の性質
全社員が一律で利用でき、常識の範囲内での支給であるということです。

福利厚生費で注意する場合

社員旅行

No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行
従業員レクリエーション旅行の場合は、その旅行によって従業員に供与する経済的利益の額が少額の現物給与は強いて課税しないという少額不追及の趣旨を逸脱しないものであると認められ、かつ、その旅行が次のいずれの要件も満たすものであるときは、原則として、その旅行の費用を旅行に参加した人の給与としなくてもよいことになっています。
(1) 旅行の期間が4泊5日以内であること。
海外旅行の場合には、外国での滞在日数が4泊5日以内であること。
(2) 旅行に参加した人数が全体の人数の50%以上であること。
工場や支店ごとに行う旅行は、それぞれの職場ごとの人数の50%以上が参加することが必要です。

(注1) 上記いずれの要件も満たしている旅行であっても、自己の都合で旅行に参加しなかった人に金銭を支給する場合には、参加者と不参加者の全員にその不参加者に対して支給する金銭の額に相当する額の給与の支給があったものとされます。
(注2) 次のようなものについては、ここにいう従業員レクリエーション旅行には該当しないため、その旅行に係る費用は給与、交際費などとして適切に処理する必要があります。
(1) 役員だけで行う旅行
(2) 取引先に対する接待、供応、慰安等のための旅行
(3) 実質的に私的旅行と認められる旅行
(4) 金銭との選択が可能な旅行

例えば、社員旅行では、特定の者だけが参加している旅行については、会社では福利厚生費として処理してもよいですが、
従業員は給与として課税されます。
どういうことかというと、「タダで旅行に行けた」という経済的利益を享受しているので、
従業員の所得税で給与となります。

慶弔見舞金(結婚・出産祝い金、病気見舞金、香典など)

これらの費用は、福利厚生費となります。給与とは別枠で所得税に課税されることなく支給できます。

ただし、こんな場合は課税されますので、注意が必要です。
理由は社会通念上相当とは言えないからです。

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健康診断費用

人間ドックの費用負担
【照会要旨】

A社では、社内規程を設け、役員及び使用人の健康管理の目的で、全員について春秋2回定期的に健康診断を実施しているほか、成人病の予防のため、年齢35歳以上の希望者の全てについて2日間の人間ドックによる検診を実施しています。この検診は、会社と契約した特定の専門医療機関においてベッド数が確保できる範囲内で順次実施し、その検診料を会社で負担することとしていますが、この人間ドックによる検診を受けた人に対して、会社が負担した検診料相当額を給与等として課税すべきですか。

【回答要旨】

給与等として課税する必要はありません。

役員や特定の地位にある人だけを対象としてその費用を負担するような場合には課税の問題が生じますが、役員又は使用人の健康管理の必要から、雇用主に対し、一般的に実施されている人間ドック程度の健康診断の実施が義務付けられていることなどから、一定年齢以上の希望者は全て検診を受けることができ、かつ、検診を受けた者の全てを対象としてその費用を負担する場合には、給与等として課税する必要はありません。

健康診断の費用については、注意が必要です。
上記のように従業員に一律に受ける権利がある場合は福利厚生費で問題ありません。
ただし、役員だけがうけられる人間ドックは福利厚生費としては認められません。
例えば、役員だけが受けられる人間ドックの費用30万円を福利厚生費として処理していた場合。
福利厚生ではなく役員給与or賞与となります。
役員給与は定期同額または事前確定届でないと損金に算入されませんので、
会社の損金にもならず、役員個人も課税されるいわゆるダブルパンチとなります。

No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)

育児・介護関連費用

託児所の費用の一部を会社負担とする場合に、福利厚生費として処理できるか?給与として課税されないのか?
以前お客様から質問がありました。

問題の所在
  • 必然的に子どもがいる職員だけが対象となるので、福利厚生費の条件である「全従業員一律」と言えるのか?
  • 祖母に面倒を見てもらっている等、同じく子供がいるのに託児所を利用していない人との不公平感をどう保つのか?
託児所の補助に関しては、給与として非課税となる論拠については、こちらです。

(課税しない経済的利益……用役の提供等)
36-29 使用者が役員若しくは使用人に対し自己の営む事業に属する用役を無償若しくは通常の対価の額に満たない対価で提供し、又は役員若しくは使用人の福利厚生のための施設の運営費等を負担することにより、当該用役の提供を受け又は当該施設を利用した役員又は使用人が受ける経済的利益については、当該経済的利益の額が著しく多額であると認められる場合又は役員だけを対象として供与される場合を除き、課税しなくて差し支えない。

こちらについては、
「自己の営む事業に属する用役」にとらわれ過ぎて、会社自前で託児所を運営していないといけないと考えている方がいましたが、違います。
「役員若しくは使用人の福利厚生のための施設の運営費等を負担すること」と書いてありますので、外部の託児所の補助でも問題ありません。

また、内閣府男女共同参画局HPの平成13年7月6日閣議決定
「仕事と子育ての両立支援策の方針について」
によると、下記の記載があります。

2.具体的目標・施策
(1)各企業等の取組に対する支援
事業主が、所定外労働時間の削減を図り、また、フレックスタイム制や短時間勤務等を導入できるよう積極的に支援を行う。
待遇面や仕事の内容は正社員と同じで勤務形態が短い、短時間正社員の制度について制度導入を支援する。
企業の両立支援への取組にかかる経費について、福利厚生費として幅広く損金算入を認める。
女性のキャリアプランの確立の支援に努める。
求人の年齢制限緩和に向けた取組を促進する。

個人的には・・・
託児所の補助金については、給与課税されないと判断してよいと思います。
理由は、少子高齢化が我が国喫緊の課題であり、その課題に取り組んでいる企業に対して、
国の方針に逆らうような判断を税務調査で国税庁がするとは思えないからです笑。
あくまで個人的な意見です。

まとめ

法定福利費 会社が負担する社会保険(健康保険と厚生年金)と労働保険(雇用保険と労災保険)

福利厚生費 会社が従業員の慰安や慶弔のために支出する費用

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