税理士が解説!!平成30年改正 賃上げ・生産性向上のための税制まとめ

毎年のように要件が変わる賃上げ・生産性向上のための税制(旧所得拡大促進税制)

賃上げ・生産性向上のための税制(旧所得拡大促進税制)は、毎年のように要件が変わるので、経理の方は大変だと思います。
また、給与や人の出入りの集計もしなければならないので、他部署との連携も気を使います。
今回は、平成30年の税制改正で所得拡大促進税制がどう変わったのか解説します。

当記事は、経理担当者向けの記事です。
経理の仕事でお悩みの方は、こちらの記事もご覧ください。

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賃上げ・生産性向上のための税制を適用するための大前提

これは声を大にして言っておきたいですが、賃上げ・生産性向上のための税制は、
要件を満たした場合に、税額控除が受けられる制度です。

そのため、法人税が発生していない会社では、適用できません。また、青色申告法人でないとダメです。

頑張って人事の方が、一年間の給与を集計したは良いけれど、
今期赤字転落で、税額控除受けられなかったなんて話はよく聞きます。

注意しなければならないのが、「今年利益出たから、賃上げ・生産性向上のための税制適用できるぞ」と意気込んだものの、
前期以前が赤字で欠損金の繰り越し控除で法人税は発生しなかったなんてパターンです。
適用条件については、経済産業省に指針が公表されました。
http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/syotokukakudaisokushin/syotokukakudai.html

気を付ける事
自社が青色申告法人で、今年法人税が発生するか確認すること

賃上げ・生産性向上のための税制がウザい点

それはズバリ、似たような用語がたくさんあってわかりづらい点です。
自分の会社のどの金額を集計すれば、適用できるのかわかりづらいのがウザいところです。
平成30年改正では、そのウザさは多少緩和されました。

平成30年税制改正のキーポイント

  1. 要件の見直し 基準年度(平成24年度ベース)との比較要件が廃止されました。
  2. 税額控除のUP 税額控除率が15%にUP
  3. 教育訓練費が増加すれば、さらに控除率UP
  4. 継続雇用者の範囲の見直し 当期と前期の全期間の各月において給与等の支給がある雇用者

ウザかった基準年度との比較がなくなりました。

また、継続雇用者の範囲が見直されました。

継続雇用者のまとめ
従前 前期と当期双方で1か月でも給与が支払われている社員は対象。
改正 前期と当期の全期間でかつ各月給与が支払われている社員のみが対象。

これにより、従来集計の対象となっていた「前期に中途入社した人」や「当期に退職した人」
は除かれることとなります。

平成30年の賃上げ・生産性向上のための税制の概要(中小企業者等)

要件

  1. 平均給与等支給額が前事業年度から1.5%以上増加

税額控除

  • (当年の給与総額-前年の給与総額)×15%
  • (当年の給与総額-前年の給与総額)×25% ※

※ 上乗せの要件 (1,2共に満たす必要あり)
1. 平均給与等支給額が前事業年度から2.5%以上増加
2. 次のいずれかを満たすこと
・教育訓練費が対前年度比10%以上増加
・経営力向上計画の認定を受け、経営力向上がなされている

平成30年の賃上げ・生産性向上のための税制の概要(大法人)

要件

  1. 平均給与等支給額が前事業年度から3%以上増加
  2. 国内設備投資額※が当期の減価償却費の9割以上

※国内設備投資額とは「法人が当期において取得等をした国内にある減価償却資産となる資産で当期末において有するものの取得価額の合計額をいい、上記の「減価償却費の総額」とは、その法人の有する減価償却資産につき当期の償却費として損金経理をした金額(前期の償却超過額等を除き、特別償却準備金として積み立てた金額を含む。)をいう」とされています。

税額控除

  • (当年の給与総額-前年の給与総額)×15%
  • (当年の給与総額-前年の給与総額)×20% ※

※ 上乗せの要件 (1,2共に満たす必要あり)
1. 平均給与等支給額が前事業年度から2.5%以上増加
2. 教育訓練費が対前年度比20%以上増加

(参考)平成29年までの所得拡大促進税制は?

まずは平成29年までの所得拡大促進税制のおさらいをしましょう。
適用要件、用語等については、下記経済産業省のリンクに詳細が記載されていますが、
特に注意すべき点を赤字で記してあります。

http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/syotokukakudaisokushin/syotokukakudai.html

適用要件

  1. 雇用者給与等支給増加額の基準雇用者給与等支給額に対する割合が増加促進割合以上になっていること
  2. 雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額以上であること
  3. 平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を超えること

適用要件をわかりやすく言うと・・・

雇用者給与等支給増加額の基準雇用者給与等支給額に対する割合が増加促進割合以上になっていること

(ざっくり言うと)平成24年度の給与総額と比べて、適用年度の給与総額が一定割合以上増えていること。

雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額以上であること

(ざっくり言うと)給与総額が、前年を上まわっていること。

平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を超えること

(ざっくり言うと)一人あたりの平均給与が、前年比を上まわっていること。(大企業は前年比2%以上)

(参考)用語の解説

雇用者給与等支給増加額

適用事業年度の雇用者給与等支給額から基準雇用者給与等支給額を引いた金額です。

例:3月締めの会社の場合
→適用事業年度の雇用者給与等支給額から基準事業年度(平成24年4月から平成25年3月までの事業年度)の
雇用者給与等支給額を引いた金額です。

基準雇用者給与等支給額

平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち最も古い事業年度の前事業年度の雇用者給与等支給額をいいます。すなわち、平成25年4月1日より前に事業を行っている法人の場合には、平成24年度の雇用者給与等支給額が基準雇用者給与等支給額となります。

なお、基準事業年度の月数と当該適用事業年度の月数とが異なる場合、基準事業年度の雇用者給与等支給額に当該適用事業年度の月数を乗じてこれを基準事業年度の月数で除して計算した金額を基準雇用者給与等支給額とします。

例1:3月末締めの会社の場合
→平成24年4月から平成25年3月までが基準事業年度となります。

例2:12月末締めの会社の場合
→平成25年1月から平成25年12月までが基準事業年度となります。

雇用者給与等支給額

国内雇用者に対して支給する俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与の額で、
当該適用事業年度において損金算入される金額をいいます。
ただし、役員の特殊関係者や使用人兼務役員に対して支給する給与や退職手当ては除かれます。
また、給与等に充てるため他の者(当該法人との間に連結完全支配関係がある他の連結法人を含みます)から支払を受ける金額がある場合には、その金額を控除する必要があります。

◆給与等に含まれるものの例:賃金、勤勉手当、残業手当など給与所得とされるもの

◆給与等に含まれないものの例:退職手当など給与所得とされないもの

比較雇用者給与等支給額

適用事業年度の前事業年度の雇用者給与等支給額をいいます。

平均給与等支給額

雇用者給与等支給額から日々雇い入れられる者に係る金額を控除した金額を、適用事業年度における給与等の月別支給対象者(当該適用事業年度に含まれる各月ごとの給与等の支給の対象となる国内雇用者のうち日々雇い入れられる者を除きます。)の数を合計した数で除して計算した金額をいいます。

国内雇用者

法人又は個人事業主の使用人のうち法人又は個人事業主の有する国内の事業所に勤務する雇用者(当該法人又は個人事業主の国内に所在する事業所につき作成された賃金台帳に記載された者)をいい、雇用保険一般被保険者でない者も含みます

ただし、当該法人の役員(法人税法第2条第15号に規定する役員をいいます)の特殊関係者や使用人兼務役員は、使用人から除かれています。なお、役員の特殊関係者とは、次の者をいいます。

① 役員の親族
② 役員と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
③ 上記①、②以外の者で役員から生計の支援を受けているもの
④ 上記②、③の者と生計を一にするこれらの者の親族

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