別表五(二)はわかりづらい
税理士の私でさえ、別表五(二)はわかりづらいです。
今回は、私が迷った時にあんちょこになるように、別表五(二)のパターン別解説をします。
当記事は、経理担当者向けの記事です。
経理の仕事でお悩みの方は、こちらの記事もご覧ください。
目次
別表五(二)とは何か?
「べっぴょうごのに」と呼んでいる租税公課の納付状況等に関する明細書ですが、
何のためにあるのでしょうか?
この明細書は、利益積立金額の計算上控除する法人税等の税額の発生及び納付の状況並びに納税充当金の積立て又は取崩しの状況を明らかにするために使用します。
国税庁 法人税申告書の記載の手引>別表五(二) 「租税公課の納付状況等に関する明細書」
利息・配当の源泉所得税の処理でお悩みの方はこちらもご覧ください。
別表五(二)の見方
別表五(二)の見出しはこのようになっています。

それぞれ何を表しているのか解説します。
期首現在未納税額
この欄は、期首=前期末時点でまだ払っていないorまだ戻ってきていない税金の金額を記載します。
当期発生税額
こちらは、文字通り、当期中に発生した税金を記載します。支払った税金ではありません。
充当金取崩しによる納付
充当金取崩しとは、未払金(具体的には未払法人税等勘定など)を取り崩して納付する方法の事です。
仮払経理による納付
仮払経理とは、税金の中間申告および納付を行った場合に、仮払金(具体的には仮払法人税等勘定など)で処理をする方法の事です。
損金経理による納付
損金経理とは、税金の中間申告および納付を行った場合に、損金(費用)(具体的には法人税等勘定など)で処理をする方法の事です。
充当金・仮払・損金の具体例
言葉だけだとよくわからないと思うので、それぞれの場合の具体例を紹介します。
充当金取崩しによる納付の具体例
(例)前期(X1年度)に支払が確定した法人税100万円を、当期(X2年)に支払った。
仮払経理による納付の具体例
(例)前期(X1年度)は黒字で、当期(X2年度)は最終的に赤字であったため、中間申告で納付した50万円全額が還付となる場合。
こちらの場合、期中では、中間申告時にPLで法人税等を計上しているので、損金経理じゃないの?
と思われるかもしれませんが、期末の時点でどのように処理しているかが問題となりますので、
今回のケースでは、下記仕訳の通り、期末で期中に計上した法人税等を取り崩して、
未収還付法人税等を計上しておりますので、最終的には、「仮払経理」となります。
翌期の別表五(二)
損金経理による納付の具体例
中間申告で50万円納付し、当期(X2年度)末でさらに、200万円の納税が必要となった。


仮払経理による納付と損金経理による納付が混在する具体例
一番ややこしいのがこのパターンです。具体的には下記のようなパターンです。
(例)中間申告で50万円納付し、当期(X2年度)末でそのうち、25万円だけ還付となった。

会計上計上した未払法人税等と実際に支払った税金が異なる場合
上場企業の子会社などでよくありますが、会計数値は、期末日後10日以内で数値を確定してくださいという場合。
取り急ぎ会計上は、法人税の計算をして、未払法人税を計上しましたが、
実際再計算したら、金額が変わってきたという事はよくあります。
会計数値は固まったので動かせない。ただ、税務申告は正しい数値で行わなければならない場合。
その場合の仕訳と別表五(二)はどのように記載すればよいでしょう?
(例)当期末に未払法人税等を120万円計上したが、実際の税額は、100万円だった場合。


会社によっては、過年度法人税等について、雑収入で処理する会社もあるかと思います。
結論
なかなか難しいですが、ポイントとしては下記のとおりです。
期末でPLに計上されているならば「損金経理による納付」
還付される税金で未収還付法人税等(BS)に計上されているなら「仮払経理による納付」となります。