中古ソフトウエアの耐用年数は簡便法ダメ

中古ソフトウエアは、耐用年数の設定に注意

先日中古で取得したソフトウエアの耐用年数は何年ですか?
という質問を受けました。
ソフトウエアを中古で取得したという事例があまりなかったので、
調べてみたらいくつか注意すべき点がありましたので、皆様にもご案内します。

中古資産の耐用年数の算定方法

国税庁HPより

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5404.htm

見積法(原則)
中古資産を取得して事業の用に供した場合には、その資産の耐用年数は、法定耐用年数ではなく、その事業の用に供した時以後の使用可能期間として見積もられる年数によることができます。

簡便法(例外)

また、使用可能期間の見積りが困難であるときは、次の簡便法により算定した年数によることができます。
ただし、その中古資産を事業の用に供するために支出した資本的支出の金額がその中古資産の取得価額の50%に相当する金額を超える場合には、簡便法により使用可能期間を算出することはできません。

(1) 法定耐用年数の全部を経過した資産
その法定耐用年数の20%に相当する年数
(2) 法定耐用年数の一部を経過した資産
その法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に経過年数の20%に相当する年数を加えた年数
なお、これらの計算により算出した年数に1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨て、その年数が2年に満たない場合には2年とします。

中古資産を取得した際の、法人税法上の耐用年数については、国税庁のHPにも上記のように記載されています。
一般的には簡便法を用いて計算する場合がほとんどです。

簡便法の適用対象資産は限定されている

簡便法が適用できる資産は、限られています。
その根拠となる条文が下記の
減価償却資産の耐用年数等に関する省令第3条
です。

(中古資産の耐用年数等)
第三条 個人において使用され、又は法人(人格のない社団等を含む。以下第五条までにおいて同じ。)において事業の用に供された所得税法施行令第六条各号(減価償却資産の範囲)又は法人税法施行令第十三条各号(減価償却資産の範囲)に掲げる資産(これらの資産のうち試掘権以外の鉱業権及び坑道を除く。以下この項において同じ。)の取得(法人税法第二条第十二号の八(定義)に規定する適格合併又は同条第十二号の十二に規定する適格分割型分割(以下この項において「適格分割型分割」という。)による同条第十一号に規定する被合併法人又は同条第十二号の二に規定する分割法人からの引継ぎ(以下この項において「適格合併等による引継ぎ」という。)を含む。)をしてこれを個人の業務又は法人の事業の用に供した場合における当該資産の耐用年数は、前二条の規定にかかわらず、次に掲げる年数によることができる。ただし、当該資産を個人の業務又は法人の事業の用に供するために当該資産について支出した所得税法施行令第百八十一条(資本的支出)又は法人税法施行令第百三十二条(資本的支出)に規定する金額が当該資産の取得価額(適格合併等による引継ぎの場合にあつては、同法第六十二条の二第一項(適格合併及び適格分割型分割による資産等の帳簿価額による引継ぎ)に規定する時又は適格分割型分割の直前の帳簿価額)の百分の五十に相当する金額を超える場合には、第二号に掲げる年数についてはこの限りでない。
一 当該資産をその用に供した時以後の使用可能期間(個人が当該資産を取得した後直ちにこれをその業務の用に供しなかつた場合には、当該資産を取得した時から引き続き業務の用に供したものとして見込まれる当該取得の時以後の使用可能期間)の年数 見積法
二 次に掲げる資産(別表第一、別表第二、別表第五又は別表第六に掲げる減価償却資産であつて、前号の年数を見積もることが困難なものに限る。)の区分に応じそれぞれ次に定める年数(その年数が二年に満たないときは、これを二年とする。) 簡便法
イ 法定耐用年数(第一条第一項(一般の減価償却資産の耐用年数)に規定する耐用年数をいう。以下この号において同じ。)の全部を経過した資産 当該資産の法定耐用年数の百分の二十に相当する年数
ロ 法定耐用年数の一部を経過した資産 当該資産の法定耐用年数から経過年数を控除した年数に、経過年数の百分の二十に相当する年数を加算した年数

上記マーカー部分の別表第一、別表第二、別表第五又は別表第六に掲げる減価償却資産とは下記の事です。

  • 別表第一 機械及び装置以外の有形減価償却資産の耐用年数表
  • 別表第二 機械及び装置の耐用年数表
  • 別表第三 無形減価償却資産の耐用年数表
  • 別表第四 生物の耐用年数表
  • 別表第五 公害防止用減価償却資産の耐用年数表
  • 別表第六 開発研究用減価償却資産の耐用年数表

つまり、無形固定資産と生物は、中古で取得しても、簡便法は適用できないということになります。

では、耐用年数はどうするのか?

こちらには、耐用年数の見積りが困難な場合とはどういうケースかと具体的に書いてあります。
耐用年数の適用等に関する取扱通達

(中古資産の耐用年数の見積りが困難な場合)
1-5-4 省令第3条第1項第2号に規定する「前号の年数を見積もることが困難なもの」とは、その見積りのために必要な資料がないため技術者等が積極的に特別の調査をしなければならないこと又は耐用年数の見積りに多額の費用を要すると認められることにより使用可能期間の年数を見積もることが困難な減価償却資産をいう。(平10年課法2-7「一」により追加)

つまり、中古のソフトウエアの耐用年数は

「頑張って見積もれよ」

ってことです。
例えば耐用年数5年のソフトウエアで、既に発売から2年経ったものを取得した場合は、耐用年数3年とするとか。
それくらいしか方法はないかと思います。
もし無理な場合は、耐用年数で償却していれば、税務署から文句を言われることはありません。



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