登録政治資金監査人に登録してみた
昨今にわかに話題になっている登録政治資金監査人に登録しましたので、
登録政治資金監査人の概要と、登録までの流れをご紹介したいと思います。
登録に悩まれている方の一助となれば幸いです。
目次
登録政治資金監査人とは
政治資金適正化委員会が行う研修を修了した弁護士、公認会計士及び税理士です。
それぞれ法律、監査及び会計並びに税務に関する国家資格を有する専門家として、高い能力と識見を有するとともに、公共的使命を担うものとされています。
政治資金監査は、このような職業的専門家が、その知識と経験を生かして公正かつ誠実に行うものであり、政治資金の適正化に資する質の高いものとすることが期待されています。
政治資金監査導入の経緯
事務所費や光熱水費等の政治団体の支出について、政治資金の使途に対する国民の政治不信が高まっています。
政治団体に対して、収支報告の適正の確保と透明性の向上のために一定の義務を課すために、国会議員関係政治団体については、収支報告書を提出するときは、あらかじめ、収支報告書、会計帳簿、領収書等について、政治資金適正化委員会が行うによる政治資金監査を受けること等が義務付けられました。
資格
弁護士、公認会計士及び税理士は、登録政治資金監査人となることができます。
登録政治資金監査人は個人としての資格でなるものであり、法人(弁護士法人、監査法人又は税理士法人)として政治資金監査を行うことはできません。
また、登録政治資金監査人は、政治資金適正化委員会が行う政治資金監査に関する研修を修了しなければ政治資金監査を行うことができません。
登録政治資金監査人の職務
登録政治資金監査人は、政治資金監査マニュアルに基づき、以下に掲げる事項について政治資金監査を行います。
- 会計帳簿、明細書、領収書等、領収書等を徴し難かった支出の明細書等及び振込明細書が保存されていること。
- 会計帳簿には国会議員関係政治団体に係るその年における支出の状況が記載されており、かつ、当該国会議員関係政治団体の会計責任者が当該会計帳簿を備えていること。
- 収支報告書は、会計帳簿、明細書、領収書等、領収書等を徴し難かった支出の明細書等及び振込明細書に基づいて支出の状況が表示されていること。
- 領収書等を徴し難かった支出の明細書等は、会計帳簿に基づいて記載されていること。
登録政治資金監査人の職務は、国会議員関係政治団体の会計責任者が作成した収支報告書及び会計帳簿等の関係書類について、法及び政治資金監査マニュアルに基づき政治資金監査を行い、政治資金監査報告書を作成することにあります。
したがって、収支報告書及び会計帳簿等の関係書類の作成責任及び政治資金監査報告書を収支報告書に併せて提出する義務を登録政治資金監査人が負うものではありません。
公認会計士が行う監査証明業務との違い
政治資金監査は、公認会計士の行う監査証明業務に該当しないものである。
したがって、政治資金監査報告書は、国会議員関係政治団体の収支報告書や会計帳簿等の適正性・適法性について、意見表明を求めるものではありません。
また、政治資金の使途の妥当性を評価するものではないため、キャバクラの領収書が大量に出てきても、適切に収支報告書に記載されていれば、問題なしと判断します。
また、政治資金監査は、支出に関する項目のみ対象となります。
そのため、収入の部分については、ノータッチです。
政治資金監査は外形的・定型的な確認を基本的性格としているため、領収証が揃っているか、その金額が適切に記載されているかのみが確認事項となります。
そのため、監査人の意見等を追記することもできません。
政治資金監査の留意点
- 全数調査
政治資金監査の調査方法については、会計帳簿等の関係書類から一定数を抽出するのではなく、全数を調査しなければならないこと。
したがって、会計帳簿と領収書等との突合については、会計帳簿とすべての領収書等とを突合することが必要です。
重要性の原則とか、サンプリングによる試査とかクソみたいなこと言ってねぇで、全部見ろって事ですw
- 政治団体の主たる事務所で行わなければならないこと
書類紛失のリスクがあることから、監査は、政治団体の主たる事務所で行わなければなりません。
政治資金監査を主たる事務所で行わないことができる例外としては、会計帳簿や領収書等の紛失等の事故を防止するための十分な措置が講じられ、かつ、会計責任者等に対するヒアリング等を通じて、経常経費を含む事務所の運営実態について確認することができることを条件として以下の場合が考えられること。
① 作業スペースの不足等やむを得ない事情により、円滑な政治資金監査の実施が困難であると登録政治資金監査人が判断した場合
② 同一の国会議員に係る複数の国会議員関係政治団体の政治資金監査を実施する場合において、政治資金監査の効率的な実施のため、特定の事務所等に収支報告書及び会計帳簿等の関係書類を集めた上で、政治資金監査を行うことが適当であると登録政治資金監査人が判断した場合
③ 解散により、政治資金監査を実施する時点において主たる事務所が存在しなくなった場合
なお、監査を実施した場所が、国会議員関係政治団体の主たる事務所と異なる場合は、監査報告書において、その理由を明らかにし、政治資金監査の実施場所については、住所を併記することにより、具体的に特定する必要があります。
- 現物確認
政治資金監査においては、収支報告書及び会計帳簿等の関係書類について、その現物を確認しなければなりません。
したがって、領収書等についても、領収書等の写しではなく、領収書等の現物を確認しなければなりません。
- 高額領収書等のあて名等の確認
法の規定上、領収書等のあて名は記載事項とされていないが、収支報告書と併せて写しが提出される1件当たりの金額が1万円を超える支出(人件費以外の経費の支出に限る。)に係る領収書等(以下「高額領収書等」という。)については、あて名に当該国会議員関係政治団体の名称が記載されているかを確認する必要があります。
高額領収書等のうち、以下のような領収書等がある場合には、当該領収書等が真正なものであることを会計責任者等に確認する必要があります。
(例)
・ 明らかに記載が訂正又は消去された痕跡のある領収書等がある場合
・ 同一の発行者で、数種類の様式の領収書等がある場合
・ 一般の大法人が発行する領収書等で、市販されている領収書等を使用している場合
・ 氏名・名称や住所など発行者に関する事項の記載がない場合又は曖昧(発行企業名が不正確なもの、番地まで記載されていないもの等)である場合
登録政治資金監査人になるためには?
詳しくは、HPをご覧いただきたいのですが、下記資料が必要です。
登録政治資金監査人の登録申請について
- 登録政治資金監査人登録申請書
- 政治資金規正法第19条の18第2項各号のいずれにも該当しない旨の宣誓書
- 申請者の写真2葉(無帽、無背景、縦2.8cm、横2.4cm、撮影後3ヶ月以内のもの、裏面に氏名を記入)
- 戸籍抄本(申請日前3ヶ月以内に作成されたもの)
- 住民票の写し(申請日前3ヶ月以内に作成され、個人番号(マイナンバー)が記載されていないもの)
- 弁護士、公認会計士又は税理士であることを証する書面(日本弁護士連合会、日本公認会計士協会又は日本税理士会連合会が発行した証明書で、申請日前3ヶ月以内に作成されたもの)
- 登録免許税1万5千円分の収入印紙(登録申請書に貼付し、消印しないこと)
審査完了後は、登録時研修を受講してください。
登録政治資金監査人の登録後、最初に受ける研修です。
※この研修を修了しなければ政治資金監査を行うことができません。
実際に業務をしてみて
最近では、各政治団体もお金の問題は相当シビアになってます。
故に、会計処理や証憑書類に関しては、きちんと整理されています。
なので、指摘事項はほとんどありません。
ただ、めんどくさいのが、全件チェック
これがなければ、本当に楽な仕事なんですが・・・笑
それから、収支報告書に監査報酬は載りますので、
いわゆるぼろ儲けはできません。
そんなに、儲かる仕事ではないですw
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