税理士が考察 ポイント・マイルは所得税・相続税課税対象?

ポイント・マイル(ポイント等)は課税対象となり得るのか?

近年Tポイントを始めとするポイント・ANA,JAL等の航空会社のマイレージは誰もが所有していると思います。
ポイント等が課税対象となり得るのか?
現時点では、獲得したポイント等を正直に確定申告時に申告している方は、
税理士の私が見る限り知りません。
相続の時に相続財産に、ポイント等を含めている方も見たことがありません。
今回は、ポイント等が課税対象となるのか?検証し、
申告時の注意点を税理士が解説します。


ポイント・マイルの定義

企業が提供するポイントプログラムの加入者(個人)に係る所得税の課税関係について(国税庁HP)によると、下記のとおりです。

  • 法的性質
    ポイントプログラム契約により消費者が得る債権とは、法的には、(受贈者による意思表示という停止条件が成就するまでは、贈与者により行使可能な約定解除権等を付与した)停止条件付き贈与契約による債権であると評価できる。
  • 経済的性質
    1000円の商品購入時に次回以降の商品購入時に「1ポイント1円」で代金決済に充てることができるポイント100ポイントを発行した場合であれば、商品代金を900円に値引きするとともに、100円という対価を得て100ポイントを発行しているという、商品代金の値引きの上、対価を得てポイントを発行したものであると捉えることは十分可能であると思われる。

現在、ポイント等については、明確な税法上の規定が存在しないため、税務大学校の方が、課税対象となり得るか研究されています。
こちらの論文でポイント等の定義を上記のとおりされています。
簡単に言うと、ポイント等は、発行者からタダで貰ったものですよ。という見解です。

ポイント等の価値はいくらか?

ポイント等の価値は、一体いくらでしょうか?
1マイル=1円でしょうか?
東京-NYのファーストクラス往復に必要なマイルは約15万マイル。
正規のファーストクラスの料金は、約300万円。
そう考えると、1マイル=20円となります。
税務大学校の論文では、ポイント等の評価は述べられておりません。
ここからは、あくまで私見ですが、評価については、下記のように考えます。

  • 所得税の場合
    15万マイルを消費し、ファーストクラスで東京-NYを往復した場合。
    所得税上、一時所得の商品等の評価額の60%が課税対象となりますので、
    法人からの300万円*60%=180万円の贈与ということで、搭乗した年の一時所得になると考えます。
    過去にエコポイントという制度がありましたが、エコポイントで交換した商品は、交換した商品の価額が
    一時所得で課税されていますので、同様の処理をするものと思われます。
    エコポイントの課税関係(国税庁HP)
  • 相続税の場合
    相続発生時点で15万マイルあった場合は、上記の場合と同様に、300万円が相続税上の評価額となり得るでしょうか?
    私はそうは考えずに、例えば、15万マイルで75,000円相当の商品と交換できる場合は、75,000円で評価して問題ないと思います。

このように、相続税の評価についてはまだ規定がありません。
通常、マイルの金額は高額にならないことから、税務署も目くじらを立てて指摘をすることはないかと思いますが、
所得税の方については、今後は、貯めたマイルを使って、ファーストクラスで世界中を旅している方は、
税務調査で指摘される可能性があります。

申告の際の注意点は

  • 所得税の場合
    前述のとおり、現状ポイント等を正直に申告している方は、見たことがありません。
    一時所得には、50万円の特別控除がありますので、そちらを利用すれば、実際に税金を払うケースは、
    ごく稀だと思いますが、今後課税される事例が出てきた場合は注意が必要です。
  • 相続税の場合

    相続税がかかる財産
    相続税は原則として、死亡した人の財産を相続や遺贈(死因贈与を含みます。)によって取得した場合に、その取得した財産にかかります。この場合の財産とは、現金、預貯金、有価証券、宝石、土地、家屋などのほか貸付金、特許権、著作権など金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのものをいいます。(国税庁HP)

    このように規定されています。上記からわかることは、相続できないポイント等は、相続財産に含まれないということです。
    つまり、ポイントサイトやマイレージサービスの会員が死亡した場合、ポイント等が失効するものについては、相続財産に含まれません。
    そのため、会員規約等で、会員死亡時に、ポイント等が失効するのか?相続できるのか?を確認する必要があります。

  • 申し出の時期
    ANAマイレージ会員規約
    30条 会員の死亡
    会員が死亡した場合、法定相続人は会員が取得していたマイルの譲渡を受けることができます。その際、要求者は、会員本人の死亡証明書と裁判所命令等、故人である会員の口座に残っているマイルの相続権を有することを確かに証明する書類を死亡後6ヵ月以内に提示する必要があります。相続の申し出が期間内になされない場合は、当該会員の積算マイルはすべて取り消されます。
    ANAでは、会員死亡後、6か月以内に申告しないと、当該会員のマイルは消滅します。
    そのため、相続財産を構成するマイルですが、6か月以内に申告しないと、

    相続税はかかるけど、マイルは貰えない。という事態が生じます。
    申し出の時期には最新の注意を払いましょう。
    ちなみに、相続税の申告期限は、死亡した日から10か月です。

まとめ

注目!!
今は税務調査等で表立った事例がないポイント等の取扱いですが、
マイナンバー制度の開始に伴い、今後ポイント等を利用して経済的利益を享受した場合は、一時所得として課税される場合があります。

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