公認会計士の仕事

今回は、公認会計士(監査法人)の仕事をご紹介します。
公認会計士を目指す方の一助になれば幸いです。

公認会計士の仕事

公認会計士法第一条
公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする。

簡単に言いますと、
会社が作った家計簿が正しいかどうかチェックする仕事です。
世の中には、業績を良く見せようと、不正をして売上を多くしようとする会社もあります。
本当は当期の利益が100億円の赤字だったのに、会社が不正をして100億円の黒字だと公表したとしましょう。
それを信頼して株を買った投資家は、どうなるでしょう?
怒りますよね、損をしますよね。
そういうことが起こらないように、会社が公表した数値(財務書類)は、ほぼ間違いないですよとお墨付きを与える仕事が公認会計士の仕事です。
最近よく聞く監査法人とは、公認会計士が集まった組織のことです。監査は公認会計士一人で行うには限界がありますので、
組織として監査を行うためにできたのが、監査法人です。
ちょうど、日経に面白い記事が出てたので、紹介します。公認会計士のこと、監査法人のことがわかる記事です。

厳格監査から逃げる企業は信頼されない
日本経済新聞2017/5/4付
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO16046760U7A500C1PE8000

公認会計士になるためには

試験概要
公認会計士になるためには、公認会計士試験に合格する必要があります。

試験制度

公認会計士試験は、誰でも受験できます。16歳で合格した人もいます。
公認会計士になるためには、

  • 短答式試験
  • 論文式試験
  • 修了試験

3つの試験に合格する必要があります。
いわゆる公認会計士試験と言われるのが、上記のうち短答と論文で、これに受かっただけでは、「公認会計士試験合格者」としか名刺に書けません。
以前は、「公認会計士補」や「公認会計士準会員」と言ってました。
公認会計士協会が実施する3年間の実務補習と、2年以上の実務経験を経て、修了試験の受験資格が得られます。
修了試験に合格して初めて、「公認会計士」と名乗ることができます。

独学で受かるのか?

公認会計士は、独学で受かる方もいますが、極めて稀です。
多くの人が、TAC、大原と言った資格の学校に通います。
公認会計士試験は、大学教授等で構成される試験委員が作成します。
試験委員の専門研究分野を独学で分析・勉強するのは、かなりの労力が必要です。
そのような分析は、予備校が行いますので、予備校の授業やテストを受けている方が時間的にも楽です。
また、公認会計士試験は、科目免除制度こそあれ、1回の試験ですべての科目を受験しなければなりません。
(税理士試験は、科目ごとに1科目受けられます)
短期間で大量の勉強時間が必要となるので、働きながら勉強して合格するのは至難の業です。
合格者の84.6%が学生・専門学校生・無職
(H28年合格者調べ)となっております。

公認会計士の仕事内容

監査法人に勤務する

多くの公認会計士試験合格者がまずは監査法人に就職します。
昨今は、人材不足ですので、ほとんどの人が内定を貰えます。
監査法人に勤務すると、新人はJ1と呼ばれます。補修所でもそう呼ばれます。
監査法人の職階は下記のとおりとなってます。

  • アソシエイトorスタッフ(3~4年)
  • シニアアソシエイトorシニアスタッフ(4~5年)
  • マネージャー(3~4年)
  • シニアマネージャー(3~4年)
  • ディレクター(3~4年)
  • パートナー

法人によって呼び方が違いますが、階層と昇格はほぼこんな感じです。(順当にいけば)
私は出世競争の負け組でしたので、もっとかかりましたw
また、各職階の仕事内容はこんな感じで↓

  • アソシエイト 実働部隊
  • シニア 現場責任者
  • マネージャーorディレクター お客様担当、予算・実績管理
  • パートナー 最終責任者、監査報告書にサイン

新人の配属

入所したら、1週間ごとのスケジュールが決定します。(アサインと言います)
一週間ごとに担当の会社がコロコロ変わる人も居れば、
張り付きと呼ばれ、ずっと同じ会社を担当する人も居ます。
新人の場合は、半年くらいは様々なチームをローテーションで回ります。
半年後に面談があり、どういう仕事がしたいか話します。
最初のアサインは、勝手に決められますが、
仕事振りが認められると、チームからアサインのリクエストが来ます。
半年ほどすれば、チームの雰囲気が合うかどうかわかりますので、
そのようなチームがメインジョブとなり、コアメンバーとなります。

新人の仕事

新人は現場では雑務を任されます。
最近では、会計士ではない補助者が充実しているようですが、それでも資料の整理等雑務が多いです。
しかし、この雑務を丁寧にこなさないと、認めてもらえませんので、きっちりやりましょう。
資料のやりとりやお客様へのヒアリングは、新人の仕事が多いです。
過去調書を見て、同じことを二度聞かないように、また資料の依頼は、なるべく少ないやり取りでできるようにしましょう。
チームの作業が一段落すると、打ち上げの段取りも任されます。
パートナー、マネージャーの日程を取りまとめるのは一苦労ですが、ここでも段取り力が試されますので、
店選びから、案内メールの送り方まで、気を抜かずにやりましょう。

有給休暇は取りやすい

監査法人では、基本的に1週間単位でスケジュールが組まれます。
中途半端に2日間だけ休まれるというのは、業務の都合上めんどくさいです。
休むなら1週間ゴッソリが基本です。
土日合わせると9連休というのが、基本です。

普通の会社では考えられませんが、海外旅行好きにはたまらない職業だと思います。

時短勤務者も結構いる

女性の会計士の方は、出産後に時短勤務で職場復帰される方もかなりいます。
10時-16時勤務という方もいます。
女性のライフプランを考えたときに、会計士を取得するというのは、かなりおススメです。

気になる年収は?

私の時の初任給は、月額36万円でした。
初任給としては結構いいと思います。
残業代も付きますし、ボーナスは法人によって年1回のところもあるみたいですが、
トータルの年収はそんなに変わらないと思います。
新人でも年収600万円は行けます。
シニアになると、800万~900万円、
マネージャーになると、1,000万円を超えてきます。

公認会計士はモテる?

ただしイケメンに限る

辞めた後の進路(転職事情)

監査法人は離職者も多いです。
さらなるステップアップのために、辞める人も多いですが、
結局のところ監査は会社の粗探しみたいなものですので、それが嫌で辞める人も少なからずいます。
辞めた方は、コンサルティングファームや会社の経理になる方もいます。

こちらの記事もご覧ください↓

会計・税務の転職でおススメはこちらです。



また、公認会計士は、申請すれば税理士資格も取れますので、税務の道に進む人も居ます。
また、公認会計士法では、第二条で、公認会計士の業務を定めています。
1項業務というのが、いわゆる監査業務
2項業務というのが、それ以外の業務です。
下記の通り、社会保険労務士の仕事も一部行うことができます。

公認会計士法
第二条  公認会計士は、他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の監査又は証明をすることを業とする。
2  公認会計士は、前項に規定する業務のほか、公認会計士の名称を用いて、他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の調製をし、財務に関する調査若しくは立案をし、又は財務に関する相談に応ずることを業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。

社会保険労務士法 第二十七条
社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、第二条第一項第一号から第二号までに掲げる事務を業として行つてはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び政令で定める業務に付随して行う場合は、この限りでない。

社会保険労務士法施行令 第二条
法第二十七条 ただし書の政令で定める業務は、次に掲げる業務とする。
1 公認会計士又は外国公認会計士が行う公認会計士法 (昭和二十三年法律第百三号)第二条第二項 に規定する業務
2 税理士又は税理士法人が行う税理士法 (昭和二十六年法律第二百三十七号)第二条第一項 に規定する業務

公認会計士のこれからのあり方

オックスフォード大学オズボーン氏の論文『雇用の未来』の中で、コンピューターに代わられる確率の高い仕事として挙げられ、
10年後消える職業の中に
簿記、会計、監査の事務員が含まれます
現状の法律では財務諸表の監査は、公認会計士にしか認められていない独占業務ですので、
その辺の法律が変わって、
AI技術が急速に進めば、公認会計士が仕事としてなくなる可能性は、ありえなくはないと思います。
そうなった場合は、ほかの仕事を探すしかありませんw
私も転職サイトに登録していましたが、担当者が言うには、
採用する側からみると、公認会計士試験というそこそこ難関の国家試験を突破しているという事実は、
その人のキャパシティを図るうえで、参考になるみたいです。
ですから、会計に関する仕事以外の道を選ぶことになっても、公認会計士という資格が無駄になることは当面はないと思われます。

まとめ

注目

  • 公認会計士試験は、勉強に専念できる環境が必要である
  • 現状就職活動で困ることはない
  • 女性が働きやすい環境が整っている
  • 当面は公認会計士という資格自体がなくなることは考えられない
  • 公認会計士というだけでモテるわけではない

 



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